2026 年の無料 IP ジオロケーション API:精度、レート制限、そして有料に切り替えるべきとき

IP ジオロケーションは解決済みの問題に見える — 細則を読むまでは。非商用限定のライセンス、HTTP のみの無料枠、月 100 リクエストの上限、国しか返さない「無料」プラン。このガイドは 2026 年に本当に検討に値する無料の選択肢 — セルフホストの GeoLite2、ip-api.com、IPinfo、ipstack、ipgeolocation.io、API Pick — を、正直な精度の数字と判断ガイド付きで比較する。
要点
- •IP ジオロケーションは国レベルでは信頼できる(精度 >99%)が、都市レベルの精度は国によって 55〜80% にとどまる — ストリートレベルの位置として信用してはいけない。
- •「無料」の IP ジオロケーション API の多くは、商用利用を制限する(ip-api.com、ipgeolocation.io)か、月およそ 100〜3 万リクエストで頭打ちにする(ipstack、IPinfo の都市データ)か、HTTP しか提供しない。
- •MaxMind GeoLite2 のセルフホストはどんなボリュームでも本当に無料だが、更新パイプラインは自分持ち(データベースは週 2 回更新)で、精度は有料の GeoIP2 より低い。
- •API Pick の IP Geolocation API はサブスクリプション不要の従量課金:1 ルックアップ 1 credit(=$0.001)、120 リクエスト/分、IPv4 + IPv6 対応、商用利用込み、課金されるのは成功したルックアップだけ。
- •AI エージェントには、JSON in / JSON out で API キー認証のジオロケーションツールが、スクレイピングやセルフホストのデータベースに勝る — 1 回の GET で国、都市、座標、タイムゾーン、EU フラグ、ASN が返ってくる。
細則の問題
「無料 IP ジオロケーション API」で検索すると、どれも同じに見えるプロバイダが十数社出てくる:IP を貼れば、国と都市が返ってくる。違いが現れるのは細則の中だけだ — そして本番障害が棲んでいるのはその細則の中だ。あるプロバイダの無料枠は HTTP のみで、ルックアップが平文で漏れる。別のプロバイダは非商用限定で、あなたの SaaS は非商用ではない。3 社目は月に 100 リクエストで、サインアップフローが昼までに使い切ってしまう。
このガイドでは、2026 年に本当に意味のある選択肢 — セルフホストの MaxMind GeoLite2、ip-api.com、IPinfo、ipstack、ipgeolocation.io、そして API Pick の IP Geolocation API — を、実際のプロジェクトの命運を分ける 3 つの軸で比較する:ライセンスが実際に何を許可しているか、無料枠に実際に何が含まれるか、データが実際に何に使えるだけの精度を持つか。
IP ジオロケーションにわかること、わからないこと
プロバイダを比較する前に、期待値を較正しておこう — どのプロバイダも似たような元データを使っており、そのデータには動かしがたい物理的な限界があるからだ:
- 国:精度 99% 超。国レベルの識別は IP ジオロケーションの信頼できる部分であり、ジオブロッキング、税務管轄、コンテンツライセンスの判断の基礎になる。
- 都市:約 50 km 以内でおよそ 55〜80%。MaxMind 自身が公表している精度の数字が、国によってこれだけばらつく。都市部の ISP はよく解決できるが、地方、モバイル、CGNAT の接続は日常的に誤った都市に解決される。
- ストリートレベル:決して無理。IP ジオロケーションのレスポンスに含まれる緯度・経度は、マッチした領域の推定中心であって、デバイスの位置ではない。GPS のように扱った結果は訴訟に行き着いた — 悪名高いカンザスの農場の件、デフォルトの地図中心点が何百万もの「不明」IP を一家族の敷地に置いてしまった事例が、その定番の警告だ。
- VPN は出口ノードにジオロケートされる。
asnフィールドがふるいになる:「住宅向け ISP」の ASN は実ユーザーの位置を示唆し、ホスティングプロバイダの ASN はその位置がデータセンターのものであることを意味する。
候補たちを、正直に
セルフホストの MaxMind GeoLite2
ほとんどの無料 API の土台になっている、無料でダウンロードできるデータベース。MaxMind アカウントを登録し、City/Country/ASN の MMDB ファイルをダウンロードして、リーダーライブラリでプロセス内から照会する — サブミリ秒のルックアップ、無制限のボリューム、商用利用込みで本当に無料(EULA の帰属表示要件あり)。
コストは運用面にある:データベースは週 2 回更新され、古いデータはモバイル IP 空間で急速に劣化する。更新パイプライン、デプロイ面、各ホストのメモリフットプリントはすべて自分持ちだ。しかも GeoLite2 は精度を落とした兄弟版 — MaxMind の有料 GeoIP2 データベースは測定可能なレベルで良く解決する。だからこそ課金できるわけだ。
ip-api.com
寛大な制限(45 リクエスト/分)で API キーも不要 — ただし無料枠のライセンスは非商用限定、かつHTTP のみ。誰かに課金するものを作っているなら、あるいは IP ルックアップを転送中に読める状態にしたくないなら、有料プラン行きだ。
IPinfo
データ品質は優秀で、国 + ASN の無料枠は本物の無料だ。ただし都市レベルのデータは、それなりのサブスクリプション料金から始まる有料プランの向こう側にある。国の解決だけで足りるなら強力な無料の選択肢。都市と座標が必要なら、予算を組もう。
ipstack & ipgeolocation.io
ipstack の無料プランは月およそ 100 リクエストで、HTTPS は有料プラン限定 — デモ用の割り当てであって、運用予算ではない。ipgeolocation.io はもう少し寛大(1 日約 1k リクエスト)だが、やはり無料枠は非商用プロジェクト限定だ。本気になった瞬間、どちらも月額サブスクリプションへ押し出してくる。
API Pick IP Geolocation
API Pick のエンドポイントはもう一方の価格設定を採る:サブスクリプションなし、月間上限なし — 1 ルックアップ 1 credit、$1 = 1,000 credits なのでルックアップは $0.001、そして課金されるのは成功したルックアップだけ。失敗したクエリ(プライベート IP、データのないアドレス)は無料だ。商用利用込み、すべて HTTPS、IPv4 と IPv6 の両対応。新規アカウントには 100 credits が無料で付く — カード登録なしで、100 回の本物のルックアップで評価できる。
1 リクエストで完全なレコードが返る:国コードと国名、地域、都市、緯度・経度、タイムゾーン、EU 加盟フラグ(GDPR 条件付きフローに便利)、そして VPN/データセンターのスクリーニング用 ASN。ルックアップはローカルにホストされた MaxMind データベースに対して走るので、レイテンシパスにサードパーティ呼び出しはない。レート制限:キーあたり 120 リクエスト/分。
横並びで見る
| GeoLite2(セルフホスト) | ip-api.com | IPinfo | ipstack | API Pick | |
|---|---|---|---|---|---|
| 本当の無料枠 | 無制限、自前運用 | 45 リクエスト/分 | 国+ASN のみ | 月約 100 リクエスト | 100 ルックアップ(登録時 credits) |
| 商用利用(無料枠) | 可(EULA) | 不可 | 可 | 可 | 可 |
| 無料枠での HTTPS | 該当なし(ローカル) | 不可 | 可 | 不可 | 可 |
| 都市レベルのデータ | あり(精度低め) | あり | 有料 | あり | あり |
| 価格モデル | 無料 + 自分の運用時間 | サブスクリプション | サブスクリプション | サブスクリプション | 従量課金($0.001/回) |
| メンテナンス | 自分(週 2 回更新) | なし | なし | なし | なし |
| ASN / VPN シグナル | 別途 ASN DB | 有料フィールド | あり | 有料 | 同梱 |
| エージェント対応の認証 | 該当なし | キー不要(無料枠) | Token | Key | x-api-key ヘッダー |
API を呼ぶ
リクエストの形は GET 1 回だ。ip パラメータを省略すると、API は呼び出し元自身のアドレスをルックアップする — クライアントサイドのパーソナライズに便利だ:
curl "https://www.apipick.com/api/ip-geolocation?ip=8.8.8.8" \
-H "x-api-key: YOUR_API_KEY"レスポンス:
{
"ip": "8.8.8.8",
"country_code": "US",
"country_name": "United States",
"region": "California",
"city": "Mountain View",
"latitude": 37.4223,
"longitude": -122.085,
"timezone": "America/Los_Angeles",
"is_eu": false,
"asn": 15169
}Python では、標準の requests ライブラリで:
import requests
def geolocate(ip: str) -> dict:
r = requests.get(
"https://www.apipick.com/api/ip-geolocation",
params={"ip": ip},
headers={"x-api-key": API_KEY},
timeout=10,
)
r.raise_for_status()
return r.json()
geo = geolocate("2001:4860:4860::8888") # IPv6 works too
print(geo["country_code"], geo["city"], geo["asn"])AI エージェントに組み込む
IP ジオロケーションは生まれつきエージェントツール向きだ:決定的な入力、構造化された出力、認証付きの呼び出し 1 回。サポートのトリアージエージェントは、リクエスト元の国とタイムゾーンでチケットをエンリッチする。不正検知エージェントは、サインアップ国とカードの国を突き合わせ、ホスティングプロバイダの ASN にフラグを立てる。OpenAI/Anthropic のツールスキーマは最小限で済む:
{
"name": "ip_geolocation",
"description": "Look up country, city, coordinates, timezone, EU flag and ASN for a public IPv4/IPv6 address.",
"input_schema": {
"type": "object",
"properties": {
"ip": { "type": "string", "description": "Public IP address to look up" }
},
"required": ["ip"]
}
}判断ガイド
- 趣味のプロジェクト、収益なし、低ボリューム:ip-api.com の無料枠が最速のスタートだ — HTTP のみという制約を受け入れられるなら。
- 国レベルだけでいい(ジオブロッキング、デフォルト通貨):IPinfo の無料の国データ枠か、セルフホストの GeoLite2 Country データベース。
- 数百万ルックアップ、社内インフラチームあり:GeoLite2 をセルフホストし(精度が要るなら有料の GeoIP2)、更新パイプラインを自動化する。
- 商用プロダクト、都市レベルのデータ、サブスクリプションは嫌:従量課金 — 1 ルックアップ $0.001 なら、API Pick で 50,000 ルックアップが $50。使っても使わなくても払う同等の月額サブスクリプションとの比較だ。
- AI エージェントのツール:認証付きの JSON API がローカルデータベースに勝る — デプロイの結合がなく、エージェントのツールスキーマがエンドポイントに 1:1 で対応する。キーを取得し、上のスキーマを配線して、完了。
インタラクティブデモでライブに試せる — 新規アカウントには 100 回の無料ルックアップが付き、カード登録は不要だ。
よくある質問
完全に無料の IP ジオロケーション API はあるか?
ある。ただしトレードオフ付きだ。ip-api.com は非商用に限り無料で、45 リクエスト/分、HTTP のみ。IPinfo の無料枠は国と ASN のデータ(都市は含まない)を提供する。MaxMind GeoLite2 のセルフホストはどんなボリュームでも無料だが、データベースの更新は自分で維持する。商用利用、HTTPS、都市レベルのデータをサブスクリプションなしで使いたいなら、API Pick の 1 ルックアップ $0.001 のような従量課金の方が、サブスクリプション型プロバイダの最初の有料プランより安く済むことが多い。
IP ジオロケーションの精度はどのくらいか?
国レベルの識別は、主要データベースのいずれでも 99% を超える精度がある。都市レベルの精度は約 50 km 以内でおよそ 55〜80% に落ち、国とプロバイダによって変わる — MaxMind が公表している数字は国ごとに大きくばらつく。IP ジオロケーションが番地や正確な GPS 位置を確実に解決することは決してない。返される座標は、マッチした領域の推定中心点だ。
IP ジオロケーションの利用は GDPR と両立するか?
GDPR の下では IP アドレスは個人データだ(欧州司法裁判所、Breyer v Germany)。不正防止、コンテンツのローカライズ、ジオブロッキングのために粗い位置を導出することは、正当な利益(legitimate interest)に基づいて処理されるのが一般的で、国レベルのルックアップはトラッキングよりはるかに侵襲性が低い。それでも処理記録とプライバシーポリシーへの記載は必要だ — 個別のケースについては弁護士に相談を。
IP ジオロケーションは IPv6 アドレスでも機能するか?
機能する — 現代のデータベース(MaxMind GeoLite2/GeoIP2 と、API Pick を含むその上に構築された API)は IPv4 と IPv6 の両方をカバーする。精度の特性は似ているが、地域ごとの IPv6 普及率の差が都市レベルの精度に影響することはある。
GeoIP データベースをセルフホストすべきか、API を呼ぶべきか?
数百万回のルックアップを行い、プロセス内でサブミリ秒のレイテンシが必要で、週 2 回のデータベース更新を自動化できるなら、セルフホスト(GeoLite2 MMDB + リーダーライブラリ)。メンテナンスゼロ、常に最新のデータ、使用量ベースのコスト、AI エージェントが直接呼べるツールが欲しいなら、API を呼ぶ。分岐点は通常、月あたり数十万ルックアップ前後だ。
IP ジオロケーションで VPN やプロキシを検出できるか?
直接はできない — VPN ユーザーは実際の位置ではなく VPN の出口ノードにジオロケートされる。実務的なシグナルは ASN(自律システム)フィールドだ:ASN がコンシューマー向け ISP ではなくホスティングプロバイダや既知の VPN 事業者に属するなら、その位置は信頼できないものとして扱う。API Pick はまさにこの種のスクリーニングのために、すべてのルックアップで ASN を返す。
AI エージェントは IP ジオロケーションツールをどう使うのか?
function calling のツールとして使う:エージェントが IP アドレスを渡すと、ツールが構造化 JSON(国、都市、座標、タイムゾーン、EU フラグ、ASN)を返し、エージェントはその上で推論する — 不正のトリアージ、サポートチケットのエンリッチメント、コンプライアンスのルーティングなどだ。認証付きの GET 1 回と JSON レスポンスは、パース用の糊コードなしで OpenAI と Anthropic のツール利用インターフェースにそのまま収まる。
この記事で使われている API
API Pick の CEO。AI エージェントと LLM ワークフロー向けの本番運用可能な API について執筆。